外郭の整備ではこれまでの整備同様に、石垣の修理工事も行ってきた。
大きく東側の城壁と、西側の城壁に分けて修理を実施した。平成23年度の工事でほぼ完了である。
さて、城壁修理は、基本的には崩れた石垣を旧状のとおりもに戻すことである。
その戻し方は、伝統的な工法で石垣及び石垣の価値そのものを再生することにある。
石垣自体は、経年変化で崩れたり、孕んだり、時には石材が破損していたりする。
そこで、最初に石垣の前面に崩落した石をいったん撤去する。これは発掘調査としてだいたい工事前年に行われている。
次に、孕んだり毀損しているところは、一度解体してもとに戻す。これは解体復旧工事と呼ばれる。
建築物で言うところの、一度建物をバラバラに解体して、そのあと傷んだ柱などを交代しながら修理するが、これと同じような考え方である。
写真は、東側城壁で行われた石垣の解体作業状況様子である。
解体積み直し
解体された石垣の下は、グスク築城時よりのオリジナルの石垣であることをきちんと示す方法として、目地に今帰仁城跡では鉛板を、その堺目の石材と石材の間に入れて、積みなおしている。
鉛板設置状況
鉛板の上に解体してもとに戻した石材、そして新しく入れた石材というような形で、修理を進めて、現在のような石垣として修理されている。
下の写真は修理された石垣で、赤ガムテープより下はオリジナル。これより上の黄色いガムテープは番号をつけて管理し、解体復旧した個所。さらにこの上のガムテープが付けられていない石材は、周辺の高さなどから高さを復元し再現された石積みである。
石積解体復旧部分と新規石積み
一方、西側城壁は根石が一石残る程度まで、石垣がほとんど残っていないような状況であった。
これは、近代になってこの地域が大きな地形改変などを受けて壊されたためと考えられている。
下の写真は、西側城壁の調査によって確認された根石の様子と、これに基づいて石垣の復元工事が行われ完了したときの写真である。
西側城壁検出状況
写真:東から西(上段着手前、下段修理完了)
写真:南から北(上段着手前、下段修理完了)